SPA(製造小売業)とは

最終更新日2020-05-24

SPA(製造小売業)・セレクトショップ

 

 

 今回の内容は、現状のアパレル業界の状況を考える上で最も知っていなければならないことになります。この内容を知っていることで、アパレル業界の歴史から学ぶことが明確になってくること間違いない。

 

アパレル業界の歴史

 

前回の授業で、アパレル産業の歴史を説明しましたが、簡単にポイントを復習しましょう。

 

洋服はオーダーメイドで作られるのが一般的でした。

 

1960年代 既製服の普及

1970年代 ファッションビジネスの勢いDCブランド誕生

1980年代 東京コレクションがスタート

1990年代 インポートブームやセレクトショップの台頭

2000年代 ファストファッションの登場

 

 

このようなアパレル業界の歴史があり、2000年代にユニクロブームに見られるような、アパレルの低価格化が始まりました。さらに、ZaraやH&M に代表されるような、流行のデザインのアパレルを安価に販売する「ファストファッション」と呼ばれるビジネスモデルが主流となりアパレル低価格化が進みました。

 

ファストファッションとは、最新の流行をとりいれながら低価格におさえた衣料品を短サイクルで世界的に大量生産・販売するファッションブランドやその業態。SPA(製造小売業)であることが多い。

 

 

主なブランドとして、

[日本] ユニクロ、GU、しまむら、Honeys、洋服の青山、AOKI、コナカ、はるやま

[スウェーデン] H&M

[アメリカ] GAP

[スペイン] ZARA

 

以前のアパレル産業の業務の流れのデメリット

 

前回の授業でお伝えしたようにアパレル産業は、原料や材料を生産する「川上」、製品を作る「川中」、アパレルの製品を顧客に届ける「川下」というように、製品が企画され販売されるまでが、違う会社が行い分業になっていました。もう少し、簡単に言うと、「原料や材料を企画して生産する会社」と「商品を企画して生産する会社」と「店舗の商品構成を考え販売する会社」が異なっていました。

 

そのデメリットは、川上の原料や材料を生産する会社は、たくさんのサンプルを作り展示会を開いて、川中の会社に注文をもらう。そして、川中の商品を企画して生産する会社は、1年間に春夏物、秋冬物の展示会を開いて、川下の小売店に注文をもらい、その注文をもらってから、生産業務にかかり非常に長い期間をかけて商品を生産する。このように、川上から川下までの1年間ほどかけてはじめて店舗に商品が納品されることになっていたのです。

 

言うまでもなく、この業務の流れでは、「無駄なサンプルを作り無駄な業務が発生するロス」「流行の変化についてゆけないことで起きる機会ロスや売れ残り商品の在庫ロス」などの課題が起きていました。また、その在庫ロスをカバーするために、商品の価格が高く設定せざるおえなかったのです。

 

 

SPA(製造小売業)の業務の仕組み

 

 

このようにデメリットが多い以前のアパレル産業の業務の流れを改善するために導入されてたのが、SPA(製造小売業)でした。SPA(製造小売業)は、アパレルメーカーが商品企画、生産管理、販売管理を一貫して行い、プライベートブランド(PB)商品を取り扱うことで情報共有の徹底と物流システムの効率化を実現することが可能になりました。

 

また、今後の授業で、このSPA(製造小売業)の課題についても説明させて頂きます。

 

 

セレクトショップについて

 

アパレル業界では独自の視点でさまざまなブランドを取り扱う小売店をセレクトショップと呼んでいます。

 

代表的なセレクトショップとして、

・ビームス

・シップス

・ユナイテッドアローズ(ビューティーアンドユース)

・アーバンリサーチ

・ナノユニバース

 

セレクトショップは、バイヤーが大手メーカーには属していない新進のデザイナーが考案した商品や、まだ小規模の作り手(メーカー)で独自の店舗を構えるほどの資本力は無いような商品も買い付け販売。また複数のブランドを組み合わせたコーディネートを提案しれる可能性があるのも魅力です。

 

セレクトショップの定義はもう一つ。

ショップならではのコンセプト、テーマがあることです。

コンセプト、テーマについては各ショップによって変わってきますが、セレクトショップはいずれも仕入れを担当するバイヤーやショップのオーナーがこだわって商品をセレクトして仕入れを行っています。

 

簡単に言うとセレクトショップは、自社ブランドの服を売るショップ(ユニクロ、GU、H&Mなど)とは違い、他社の複数のブランドを仕入れて販売するショップになります。

 

ただ「セレクトショップ」であっても、自社(自店舗)で企画・制作して自社ブランド名を冠する商品を販売している場合も多く、このような商品は「セレクトショップオリジナル」と呼ばれている。セレクトショップオリジナル商品は一種のSPA方式であるため、ブランドから買い付けたセレクト商品より祖利益率が高く、セレクトショップの経営を安定させるために重要となっています。

 

自社商品を扱う代表的なセレクトショップとして、BEAMS(ビームス)やSHIPS(シップス)、UNITED ARROWS(ユナイテッドアローズ)などがそれにあたる。

 

今後の授業で、セレクトショップの課題についても説明させて頂きます。

投稿者プロフィール

Mr.Thanks
Mr.Thanks
大手アパレルメーカーで30年間勤務し、国内では営業・商品企画・事業企画・他社とのコラボレーションを推進する部門、そして約14年間で海外にて2カ国の法人社長を経験。その後、経営コンサルティング会社に転職し、アパレル以外のビジネスの知見を深め、現在は、コンサルティング会社を起業し、本業に加えファッション系の専門学校で教示している。アパレル業界を目指す全ての方々に実践的なノウハウを伝授したいと思っています。

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